こんにちは。ウィルダー株式会社です。
AIと税理士の関係について、いま何が起きていて、これからどうなるのか気になりますよね。
AIで税理士はいらないのか、税理士の仕事はなくなるのか、自動仕訳や記帳の効率化はどこまで進むのか、チャットボットやAI OCRの使いどころはどこなのか、エストニアの事例は日本でも再現できるのか、セキュリティとハルシネーションのリスクはどう扱うのか。
この記事では、あなたのそんな疑問に寄り添いながら、生成AIの活用事例や実務への落とし込みまで、現場視点でわかりやすく整理していきます。読み終わる頃には、明日から何に手を付けるべきか、スッと腹落ちすると思います。
この記事を読むとわかること
- AIで変わる業務と人が担う業務の切り分け
- 自動仕訳やAI OCRなど最新動向と導入ポイント
- チャットボットやChatGPTの実務活用の型
- セキュリティ対策とリスキリングの進め方
AIと税理士の現在地と展望

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まずはマクロの視点から。いま現場で起きている変化と、数年スパンで見た働き方のシフトを俯瞰します。効率化に振り切るのではなく、どこで付加価値を高めるかが肝です。
生成AIがもたらす業務効率化
生成AIは、パターン化しやすい作業に圧倒的に強いです。会計データの前処理、案内文やドラフトの作成、FAQの一次対応、会議要約、資料の叩き台作成など、「ゼロから作る」負荷を大きく減らす領域で効果が出ます。
コツは、AIの得意領域に仕事を寄せること。入力形式をそろえる、命名規則を決める、チェックリストを先に定義してからAIに渡す、などの工夫で効果がグッと安定します。
具体的には、AI OCR(AIを活用して、画像やPDFなどの文書から文字を高精度に読み取りテキストデータに変換する技術)で領収書を読み取り自動で仕訳候補を生成、クラウド会計の明細連携で取引の自動分類、ChatGPTで税制改正の社内向けサマリーを作る、Teamsのトランスクリプトを要点要約して議事録化、といった流れが現場の定番になりつつあります。
私は、対象範囲とルールをきっちり決めて回すと、定型作業の所要時間はおおむね2〜4割短縮できるかなと思います(あくまで一般的な目安)。さらに、AIは「疲れない・忘れない・ログが残る」ので、品質のバラつきが減るのも大きいメリットです。
実務で効く小ワザ
- テンプレを先に用意し、AIには「空欄を埋める」タスクに限定する
- FAQは「質問の言い換え辞書」を作ってから学習させる
- 要約は「誰向け・何分で読む想定」を明示する
AIの出力は最終成果物ではなく下書きです。特に税務の数値や法令解釈に関わる箇所は、必ず人のレビューを前提にしましょう。正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
仕事は代替される?

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結論から言うと、一部は代替、コアは強化です。起票や書類作成のような単純反復はAIの守備範囲に入ります。一方で、事業の文脈理解、税務判断の優先順位づけ、税務調査対応、経営者との対話は、依然として人間の仕事です。ここは経験・倫理・交渉力が効いてきます。
私は、AIで余白ができたぶんを「何に再配分するか」で価値に差がつくと感じています。たとえば同じ60分でも、AIで事前の資料整理を済ませ、面談では意思決定だけに集中する。この切り替えだけで、満足度はかなり変わるはずです。
むしろAIの浸透で、税理士の価値は「判断」と「提案」にシフトします。私はこの流れを、作業代行中心のモデルから、経営支援・コンサルティング中心のモデルへ軸足を移す追い風と捉えています。
AIが拾えない「事業の裏側の事情」「社長の意思」「金融機関との関係性」などを踏まえ、実務に落ちる提案をする。ここは人にしかできません。なので、「AIに任せること」と「自分がやること」を明文化して、所内ルールに落とすのが第一歩です。
ポイント
- 入力・転記・草案づくりはAI、最終判断と助言は人
- AIで捻出した時間を対話と提案に再配分
- 業務設計は「分業」と「協業」の両輪で考える
記帳代行や自動仕訳の最新動向
AI OCR(AIを活用して、画像やPDFなどの文書から文字を高精度に読み取りテキストデータに変換する技術)は旧来のOCRに比べて学習により精度が改善し、読み取り精度が90%台(一般的な目安)を示すサービスが増えています。
通帳・カード明細の連携、自動学習する仕訳ルール、異常値アラートなど、「入力の自動化+確認の省力化」が同時に進むのが現在地です。ここでのコツは「例外処理の設計」。100件中5件の例外をどう早く見つけ、どう処理するかを先に決めると、全体の速度が一気に上がります。
主要機能の比較イメージ
| 観点 | AI OCR | 銀行API連携 | 仕訳ルール学習 | 異常検知 |
|---|---|---|---|---|
| 主な効果 | 紙→データ化の高速化 | 明細の自動取得 | 自動分類の精度向上 | チェック漏れの削減 |
| 導入の肝 | スキャン条件の統一 | API権限と連携深度 | 承認と反映のルール | 閾値と除外条件の設計 |
| リスク | 画像品質依存 | 同期遅延・欠損 | 誤学習の拡散 | 誤検知・見逃し |
導入時は以下をチェックするとミスマッチを防げます。証憑フォーマットの多様性(手書き、レシート、請求書、通帳)への対応範囲、会計ソフト・銀行APIとの連携の深さ(例:部門・品目・プロジェクト)、学習型ルールの権限管理(誰が承認し、いつ反映されるか)、監査ログとロールバックの容易さ(説明可能性)。これらを事前に確認し、運用中の例外ケースを毎月レビューに集約して、誤学習を防ぐのがポイントです。
AI OCRの精度は証憑の品質やスキャン条件で大きく変動します(数値はあくまで一般的な目安)。税務申告の最終確認は必ず人が行ってください。正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
コンサルティング強化と提案力

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定型作業が軽くなるほど、提案の質が競争力になります。私が現場で効くと感じるのは、次の型です。まずは「見える化」。
KPIダッシュボードで、売上総利益率、在庫回転、キャッシュコンバージョンサイクルなどの基本指標を、毎月のリズムで揃えていく。ここをAIで自動更新し、異常値や前年同月比のズレをハイライトすると、対話の質が上がります。
提案の型(シンプル版)
- 現状把握:KPIの「見える化」(売上総利益率、在庫回転、キャッシュコンバージョンサイクルなど)
- 課題特定:異常値アラートやベンチマークで「どこが普通で、どこが違うか」を示す
- 選択肢提示:税務影響を織り込んだ3案比較(費用・効果・リスク)
- 実行計画:90日で動くマイルストーンと担当割り
生成AIは、ドラフト作成や比較表のたたき台に使い、意思決定は「人間の言葉」で腹落ちさせる。ここを外さないのがプロの仕事だと考えています。さらに、提案の「前提」を共有すると納得感が増します。
たとえば在庫削減の提案なら、「現行の発注リードタイム」「安全在庫の根拠」「需要の季節性」を表にして見せる。AIで算出と可視化を任せ、人は選択肢の優先順位づけに集中するのがコツです。
豆知識:シナリオ分析で使う前提条件は、AIに丸投げせず「前提を明示」して提示すると、顧問先の納得感が上がります。
エストニア事例に見る
エストニアは電子IDとデータ基盤が整い、税務プロセスの自動化が進んでいます。AIが申告作業を補助し、人は高度な助言へシフト。X-Roadのような安全なデータ連携基盤が、行政・企業・個人の情報を安全にやり取りできる土台になっているのが強みです。
一方、日本は税制の複雑性や制度基盤の違いから、同じ速度での全面自動化は現実的ではありません。ここは「違いを前提に、勝ち筋を変える」視点が大事かなと思います。
この違いは悲観材料ではなく、「どこを自動化し、どこに人が価値を出すか」の設計指針になります。私は、日本では分業・協業モデルの成熟が進むと見ています。具体的には、入力・照合作業はクラウド+AIで共通化し、事業計画や資金繰り改善の助言は人が深掘りする。
さらに、顧問先の業務データ(販売、在庫、勤怠など)を「会計の言葉」に翻訳して意思決定に繋げる役割が、税理士に求められていくはずです。エストニアのエッセンスは、「手入力を消す」「再利用できるデータを増やす」「出典を明確にする」。この3点を日本流に取り込むのが実務的です。
各国制度は随時更新されます。最新状況は必ず公式情報をご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
AIと税理士の導入実務と選び方

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ここからは実装の話です。どの業務から始め、どのツールをどう使うか。現場がつまずきやすいポイントと、成功確度を上げるコツを具体的に解説します。
ChatGPTとチャットボット活用術
用途別に使い分けると効果が伸びます。ChatGPTは文章生成・要約・叩き台づくりに強い。一方、チャットボット(RAG型)は、所内規程・マニュアル・FAQなど「自社の一次情報に限定した回答」で威力を発揮します。
ここ、悩みどころですが、ざっくりと「広く浅く作るならChatGPT、深く正しく答えるならRAG」と覚えるとラクです。社外向け、社内向けで役割も分けるとスムーズに回ります。
社外向け(顧問先対応)
- 定型FAQの一次対応(申告期限、必要書類、手続きの流れ)
- ニュースレターのドラフト生成(人が事実確認・加筆修正)
- 問い合わせの振り分け(緊急・重要の自動タグ付け)
社内向け(所内ナレッジ)
- 業務手順・チェックリストの検索(根拠URL付き回答)
- 過去事例の横断検索(案件タイプ・税目・対応履歴で絞り込み)
- 研修資料や議事録の要点要約
導入のポイントは3つ。1つ目は「情報源の整備」。RAGは元データが命なので、最新版のマニュアルやQ&Aを一箇所に集約し、更新ルールを決めます。
2つ目は「プロンプトの標準化」。回答のトーン、根拠の付け方、出力形式(箇条書き・表など)をテンプレ化します。
3つ目は「評価」。回答品質を月次でレビューし、改善点を学習に反映させる仕組みを回すと精度が底上げされます。
プロンプトのコツ:前提・目的・出力形式・制約を明示。例「目的は顧問先向け案内の下書き。対象は製造業の経理担当。600字程度、箇条書き3点、最新法令の出典URL欄を空欄で作成」
守秘情報や個人情報は入力しないポリシーを徹底しましょう。正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
OCR導入と税務申告書チェック
AI OCRは証憑→データ化→仕訳候補までの一連を短縮します。導入は「スモールスタート→検証→展開」の順序が安全です。最初はレシートのようにフォーマットが近いものから始め、請求書、通帳へと広げると失敗しにくいです。
検証段階では、精度(一般的な目安で90%台)だけでなく、例外処理(不鮮明、手書き、割引表記など)のパターンを収集し、ルール化しておくと後がラクです。
- スモールスタート:証憑タイプを限定(レシート→請求書→通帳の順など)
- 検証:精度(一般的な目安で90%台)と例外処理のパターンを把握
- 展開:会計ソフト連携と承認フローを整備、監査ログで説明可能性を確保
税務申告書チェックは、AIでの下書きチェックリスト+人のレビューが鉄板です。控除漏れ・異常値・付表整合などをAIが先に洗い出し、重要度順に人が確認する設計が効果的。
私は、チェック観点を「自動で洗い出しできるもの」「人が目で判断すべきもの」に二分して、役割を明確にするやり方を推しています。これだけでレビュー時間が目に見えて短くなり、漏れの再発も減りますよ。
選定チェック
- 読み取り精度と学習スピード(目安数値はベンダー資料で確認)
- 承認・権限・監査ログの実装
- データ保管場所(リージョン)と暗号化
- 料金体系(従量・席数・API)と将来の拡張性
リスキリングとプロンプト設計

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ツール導入だけでは成果は出ません。スキル移転と業務ルール化がセットです。私が推奨するのは、30-60-90日の段階導入。まず全員で基礎を揃え、その後ユースケースで手を動かし、最後に自部署テーマの自動化ミニPJTで成果を固める流れです。
これだと、属人化しにくく、評価軸も作りやすいです。さらに、良いプロンプトを「見える化」し、定期的に棚卸しする場を作ると、所内の学習スピードが一段上がります。
- Day 1–30:共通基礎(生成AIの前提、情報の扱い方、社内ルール)。ChatGPTで要約・ドラフトの演習
- Day 31–60:業務別ユースケース(申告チェック、資料作成、議事録要約)。良プロンプトの共有会
- Day 61–90:自部署テーマの自動化ミニPJT(成果物の標準化、レビュー工数の可視化)
プロンプトは、役割/前提/目的/制約/出力形式を明示するのが基本。さらに「評価基準(採点軸)」を添えると安定します。たとえば「事実と意見を分ける」「根拠URLを3件まで」「600字±10%」のようにルールを付けるとブレが減ります。
私は、社内で「プロンプトの寄せ書き」を作るのをおすすめしています。よく使う型や失敗例を、短くストックしておくと、新人でもすぐ戦力になります。
例:あなたは税理士事務所の文案担当。目的は顧問先向け消費税改正の案内ドラフト。前提は中小製造業、非課税売上あり。制約は600字、見出し3つ、箇条書き3点、難語は避ける。出力は見出し→本文→注意喚起→次のアクション。
セキュリティとハルシネーション対策
AI導入は、情報保護と正確性を最優先に。ここは運用ルールで差がつきます。まず「入れない」ルール(個人情報・機微情報の入力禁止)を徹底し、どうしても必要な場合は匿名化・要約・伏せ字で代替します。
次に「出さない」ルール。外部共有の可否、出力の保存範囲、監査ログの保持期間を明確にします。最後に「確かめる」ルール。AIの回答は一次情報で必ず突合し、根拠のない主張は採用しない。これだけで実務リスクはかなり抑えられます。
最低限のルール
- 個人情報・機微情報は入力禁止(匿名化・要約で代替)
- 学習オプトアウトの有効化とアクセス権限の最小化
- データ保管リージョンと暗号化方式の確認
- 出力は一次情報(国税庁、法令DB等)で必ず突合
- AI出力の引用は出典を明示、意思決定は人が責任を持つ
正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
ハルシネーションは「それっぽい誤り」です。根拠要求・出典提示・出力制約(数値は小数第2位まで等)でリスクを下げ、RAG(検索拡張生成)で回答範囲を一次情報に限定すると、実用精度が一段上がります。
私は、重要回答には「出典のURL」「取得日」「該当条文」まで自動添付する設計をおすすめしています。こうしておくと、後から第三者が検証しやすく、監査にも強くなります。ここは小さな手間が大きな安心に変わるポイントです。
DXとAI導入はウィルダー株式会社へ
私たちは、税理士事務所のお悩みや課題をお聞きし、業務効率化に向けたAIやシステムの導入をサポートしております。
まずは「1業務・1ツール・90日」で結果を出し、うまくいった型を横展開する。それがコストを抑えつつ、現場に根付く進め方だと考えています。
お気軽にご相談ください。まずは小さく始めて、成果で広げる進め方をご提案します。
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AIと税理士のまとめと次の一歩
最後に要点をまとめます。AIは定型を速く・正確にしてくれます。人は文脈を読み、判断し、提案することに集中する。これがこれからの勝ち筋です。
まずは、1案件で「入力→チェック→報告」のチェーンをAI対応に置き換え、どれだけ時間が浮くか、どこにボトルネックが残るかを見極めましょう。
捻出した時間は、顧問先との面談・提案に投資。所内ルールと研修で再現性を高め、RAGやワークフロー自動化で属人化を外していく。地道ですが、これが効きます。
- まず1案件で「入力→チェック→報告」チェーンをAI対応に置き換え
- 捻出した時間を、顧問先との面談・提案に投資
- 所内ルールと研修で、再現性のある運用に
- RAGやワークフロー自動化で、属人化を排除
本記事の内容・数値は一般的な目安です。制度・機能は更新されます。正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
次の一歩はシンプルです。「1業務・1ツール・90日」で小さく始める。私たちが伴走します。あなたの事務所の強みを、AIで底上げしていきましょう。


