ECサイトを強化することで、これまで店舗や卸売に依存していた売上構造を見直し、収益性の高い直販チャネルを育てられます。
この記事では、ECサイト強化の考え方から具体的な流入施策、スケジュールの立て方、費用の考え方、外部委託の判断基準まで、順を追って解説します。
「ECサイトはあるけれど、正直ほとんど手をかけられていない」という会社は少なくありません。
取引先への配慮から自社ECには消極的だった、あるいは日々の業務に追われて更新が後回しになっていた、という背景をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事を読めば、何から着手すればよいのか、全体像をつかんでいただけるはずです。
ECサイトが「機能していない」とはどういう状態か?

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ECサイトが機能していない状態とは、サイトは存在していても実質的な集客・販売の仕組みが整っていない状態を指します。
具体的には、次のようなサインが見られます。
- トップページのビジュアルやコンテンツが数年単位で更新されていない
- マーケティング施策がSNSの投稿のみなど、単一チャネルに偏っている
- GA4などのアクセス解析が設定されておらず、訪問数や購入率を把握できていない
- 商品ページの情報設計が古く、商品数が多いにもかかわらず探しにくい
- 広告出稿やメールマーケティングなど、能動的な集客施策を行っていない
これらに複数当てはまる場合、ECサイトは「置いてあるだけ」の状態になっている可能性が高いといえます。
まずは自社のサイトがどの状態にあるのか、客観的に棚卸しすることがECサイト強化の出発点です。
なぜ今ECサイト強化が必要なのか?
ECサイト強化が必要とされる背景には、EC市場そのものの継続的な拡大があります。
経済産業省の調査によると、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26.1兆円に達し、前年の24.8兆円から5.1%増加しました(参考:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」 https://www.meti.go.jp/press/2025/08/20250826005/20250826005.html )。
同調査では、物販系分野のEC化率が9.78%となり、前年から0.40ポイント上昇したことも報告されています。
市場規模はこの10年でおよそ2.2倍に拡大しており、EC化率も大台の10%が目前に迫っている状況です(参考:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書」)。
一方で、市場が拡大しているからこそ、何も手を打たなければ競合他社にシェアを奪われていくリスクも大きくなります。
また、BtoB-EC(企業間の電子商取引)の市場規模も514.4兆円に拡大し、EC化率は43.1%に達しています(参考:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」)。企業間取引においてもオンライン化が着実に進んでおり、業種を問わずEC活用が事業の前提になりつつあるといえます。
特に、これまで卸売や実店舗中心で事業を展開してきた企業にとっては、BtoCチャネルの強化は「今すぐ着手すべき先行投資」と位置づけられるケースが増えています。
為替や仕入れコストの変動によって既存事業の収益性が低下している場合は特に、自社で完結できる直販チャネルの強化が経営上の優先課題になりやすいといえるでしょう。
ECサイト強化の全体設計:ブランディングとPDCA改善を両輪で進める

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ECサイト強化を成功させるには、ブランディングとPDCA改善という2つのアプローチを両輪で進めることが重要です。
どちらか一方だけに偏ると、成果が出るまでに時間がかかりすぎたり、逆に短期的な数値改善に終始して顧客からの信頼を積み上げられなかったりする恐れがあります。
ブランディング再構築では何をするか?
ブランディング再構築とは、商品やサービスの世界観を整理し、サイト上の体験として一貫させる取り組みです。
具体的には、ブランドコンセプトやトーン&マナーの整理、メインビジュアルの刷新、商品の見せ方の統一などが含まれます。
特に、卸売やOEM中心で事業を展開してきた企業がBtoCブランドとしての顔を持とうとする場合、この工程を丁寧に行うことが不可欠です。
自社が培ってきた企画力や商品開発力を、消費者に伝わる言葉やビジュアルに翻訳していく作業だと捉えるとよいでしょう。
PDCA改善サイクルでは何をするか?
PDCA改善サイクルとは、計測データにもとづいて仮説を立て、施策を実行し、結果を検証して次の打ち手につなげる一連の流れです。
まず取り組むべきは、GA4などの計測基盤を整備し、サイトへの流入数・滞在時間・購入率(コンバージョン率)を可視化することです。
参考までに、ECサイト全体の平均的なコンバージョン率は1〜3%程度とされています。
ただし、業界によって差が大きく、たとえばアパレル・ファッション分野では指名買いやリピート購入の多さから、平均4%台まで高くなるという調査もあります。
自社の数値を業界平均とだけ比較するのではなく、まずは自社の現状値を把握し、そこからの改善幅を追いかける姿勢が大切です。
データが揃っていない場合は、いきなり大きな改修に着手するのではなく、計測の仕組みを整えるところから始めるのが現実的な進め方です。
ECサイトの流入を増やすにはどうすればいいか?4つの施策の柱

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ECサイトの流入を増やすには、SNS運用だけに頼らず、複数の施策を組み合わせることが重要です。
「マーケティング施策はSNSの投稿だけ」という状態のまま新規顧客を増やそうとしても、既存フォロワーの外側には届きにくく、成果が頭打ちになりやすいためです。
ここでは、ECサイトの流入施策を4つの柱に整理して紹介します。
①自社メディア強化(SEO・コンテンツ)とは?
自社メディア強化とは、検索エンジン経由の流入を資産として積み上げていく取り組みです。
商品ページの商品名・alt属性・meta descriptionといった基本的なSEO対応から着手し、ブランドストーリーやスタイリング提案といったコンテンツを拡充していきます。
広告と違って即効性は高くありませんが、一度整備すれば継続的に流入を生み出す資産になる点が特徴です。
②広告運用は何をどう使い分けるか?
広告運用では、目的に応じてリスティング広告・リターゲティング広告・SNS広告を使い分けることが重要です。
リスティング広告は「商品名+比較検討ワード」など、購入意欲の高いユーザーを刈り取るのに向いています。
リターゲティング広告は、サイトを訪れたものの購入に至らなかったユーザーに再アプローチする施策で、計測タグの実装が前提になります。
SNS広告は、すでに保有しているクリエイティブ資産を活用しやすく、比較的少ない予算からテストを始められる点がメリットです。
③SNS運用は「受け皿」として位置づける
SNS運用は、新規獲得の主エンジンとしてではなく、獲得した流入の「ブランド体験の入口」として位置づけるのが現実的です。
投稿の型化やUGC(ユーザー生成コンテンツ)の収集・活用は継続しつつ、フォロワーの外側にいる新規層へのリーチは、①や②の施策で補うという役割分担が有効です。
④リピート・再訪促進(LINE公式・クーポン)の効果とは?
リピート・再訪促進とは、一度接点を持った顧客との関係を継続させ、再訪問・再購入につなげる施策です。
LINE公式アカウントは、年齢層を問わず利用率が高いコミュニケーションツールであり、再訪・リピート促進の手段として有効です。
友だち追加時のクーポン配布や、購入頻度・記念日に合わせた配信を組み合わせることで、新規顧客の初回購入後押しと、既存顧客の関係維持を同時に狙えます。
以下の表にまとめます。
| 施策 | 特徴 | メリット | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| ①自社メディア強化(SEO・コンテンツ) | 検索経由の流入を資産化する中長期施策 | 継続的な流入を低コストで積み上げられる | じっくり資産を育てたい企業 | 効果が出るまで数ヶ月単位の時間がかかる |
| ②広告運用(リスティング・リターゲティング・SNS広告) | 目的に応じて配信先を使い分ける即効性の高い施策 | 短期間で流入・購入につなげやすい | 早期に成果を確認したい企業 | 広告費が継続的に発生し、計測基盤の整備が前提になる |
| ③SNS運用(受け皿) | 既存フォロワーとの関係を深める施策 | ブランドの世界観を伝えやすい | すでに一定のフォロワーがいる企業 | 単体では新規層への到達力が弱い |
| ④リピート・再訪促進(LINE公式・クーポン) | 既存接点をリピート購入につなげる施策 | 年齢層を問わず接触率が高い | リピーター育成を重視する企業 | 友だち追加後の配信設計・運用体制が必要 |
ECサイト強化のスケジュールはどう立てるべきか?
ECサイト強化のスケジュールを立てる際は、いきなり大規模なリニューアルを目指すのではなく、数ヶ月単位の短いサイクルで土台を整えることから始めるのが現実的です。
目安としては、最初の3ヶ月程度を「計測基盤の整備」「主要導線(トップ・カテゴリ・商品詳細)の改修」「ブランディング要素の初期導入」にあてる進め方が挙げられます。
この期間でデータに基づく現状把握ができる状態をつくり、そのうえで本格的なコンテンツ拡充や広告投資、新規チャネル拡大へと進んでいく、という2段階の設計です。
最初から数年単位の壮大な計画を立てるよりも、まず短期間で「動いている実感」を得られる規模から始め、実績を踏まえて次のフェーズを判断するほうが、投資判断のリスクを抑えられます。
たとえば、1ヶ月目に計測基盤の整備と要件定義、2ヶ月目に主要導線の改修とブランディング要素の実装、3ヶ月目に公開・検証と次フェーズの方向性確認、というように月単位でマイルストーンを区切ると、進捗と成果物がわかりやすくなり、社内外での合意形成もスムーズになります。
特に、外部パートナーへの委託を検討している場合は、最初のフェーズの期間と成果物を明確にしておくことで、その後の継続可否を判断しやすくなります。
ECサイト強化にかかる費用の考え方

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ECサイト強化にかかる費用は、大きく「初期費用(構築・改修にかかる費用)」と「月額運用費(継続的な運用・改善にかかる費用)」の2つに分けて考えるとわかりやすくなります。
初期費用には、計測基盤の整備、サイトの導線改修、ブランディング要素の制作(メインビジュアルの撮影など)にかかる工数が含まれます。
月額運用費には、サイトの運用保守、SNS運用支援、データ分析にもとづく月次の改善提案などが含まれるのが一般的です。
【要一次情報:業界平均のEC運用代行費用相場に関する統計データを追記】
費用感は依頼する業務範囲や商品数、サイトの規模によって大きく変動するため、複数の会社から見積もりを取り、内訳(工数・単価・対象範囲)を比較検討することをおすすめします。
また、初期費用をまとめて用意することが難しい場合は、初期費用を分割して月額費用に含める形で提案してもらえるケースもあります。
その場合は、契約期間の縛りや途中解約時の精算方法について、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
さらに、見積もりを比較する際は、金額の大小だけでなく「その金額に何が含まれていて、何が含まれていないか」を必ず確認しましょう。たとえば、商品撮影費が「メインビジュアル用の一部カットのみ」なのか「全商品の撮り直し」なのかによって、費用感も作業範囲も大きく変わってきます。見積もりの内訳を曖昧なままにせず、対象範囲を具体的に確認する習慣をつけることが、後々の認識齟齬を防ぐことにつながります。
ECサイト強化の効果はどう測ればいいか?
ECサイト強化の効果を測るには、売上だけでなく、複数のKPI(重要業績評価指標)を組み合わせて確認することが重要です。
代表的な指標としては、サイトへのセッション数(流入数)、直帰率、平均滞在時間、コンバージョン率(購入率)、リピート購入率などが挙げられます。
これらを月次で振り返り、「流入は増えたが購入率が伸びていない」「特定の商品カテゴリだけ離脱率が高い」といった傾向をつかむことで、次の改善施策の優先順位を判断できます。
特に、施策を始めたばかりの時期は数値が大きく変動しやすいため、単月の結果だけで一喜一憂せず、3ヶ月・半年といった一定期間の推移で評価する視点も欠かせません。
KPIの振り返りを定例化し、データにもとづいて次の一手を決めるサイクルを社内に根づかせることが、ECサイト強化を一過性の取り組みで終わらせないための鍵になります。
ECサイト強化を外部委託するか内製化するかの判断基準

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ECサイト強化を外部委託するか内製化するかは、自社の状況に応じて総合的に判断する必要があります。
判断のポイントとして、次のような観点が挙げられます。
- スピード:すぐに専門知識を持つ人材を採用できるか、それとも外部の即戦力を活用したほうが早いか
- 専門性:SEO・広告運用・データ分析など、複数分野の専門知識が社内に蓄積されているか
- コスト:採用・教育コストと、外部委託費用のどちらが自社にとって合理的か
- 社内リソース:既存業務と兼務させる余地があるか、専任担当を置けるか
- ノウハウの蓄積:将来的に内製化を目指すのか、継続的に外部パートナーと伴走するのか
特に、これまでマーケティング施策をほとんど行ってこなかった企業の場合、いきなり内製化を目指すよりも、外部パートナーと一定期間伴走しながら自社にノウハウを蓄積していくという進め方も選択肢の一つです。
どちらを選ぶにしても、最初のフェーズで「何を、いつまでに、いくらで」実現するのかを明確にしておくことが、後々のミスマッチを防ぐポイントになります。
ECサイト強化のご相談は、ウィルダー株式会社へ
ここまで、ECサイト強化の考え方や具体的な施策、費用感について解説してきました。ただ、実際に自社のECサイトが今どの状態にあり、どこから着手すべきかは、業界や商品特性、これまでの販売チャネルによって最適解が異なります。
ウィルダー株式会社では、ECサイトの現状分析・計測基盤の整備からブランディング再構築、SEO・広告運用・LINE公式活用まで、EC強化に関する施策を一気通貫でご支援しています。「何から手をつければよいかわからない」という段階からでも、まずは現状の棚卸しからご相談いただけます。
ECサイト強化にご興味をお持ちの方は、お気軽にウィルダー株式会社へご相談ください。
よくある質問
Q. ECサイト強化はどれくらいの期間で成果が出ますか?
A. 施策の内容によって異なりますが、広告運用など即効性のある施策であれば数週間〜1ヶ月程度で変化が見え始めることもあります。一方、SEOやブランディングなど中長期的な施策は、成果が表れるまで数ヶ月単位の時間がかかるのが一般的です。まずは3ヶ月程度を目安に土台を整え、その後の投資判断をするという進め方をおすすめします。
Q. ECサイト強化は何から始めればいいですか?
A. まずは自社のECサイトの現状を客観的に把握することから始めましょう。GA4などの計測基盤が整っていない場合は、その整備が最初のステップになります。現状のデータがないまま施策を検討すると、優先順位を誤ってしまう可能性があるためです。
Q. SNS運用だけでECサイトの売上は伸びますか?
A. SNS運用単体では、新規顧客の獲得に限界があるケースが多いです。SNSは既存フォロワーとの関係を深める「受け皿」としては有効ですが、新規層への到達力は広告運用やSEOに比べて弱い傾向があります。複数の施策を組み合わせることをおすすめします。
Q. ECサイトのコンバージョン率(CVR)はどれくらいが目安ですか?
A. ECサイト全体の平均的なコンバージョン率は1〜3%程度とされていますが、業界によって差があり、アパレル分野では4%台という調査結果もあります。自社の業界平均を参考にしつつ、まずは自社の現状値からの改善幅を追いかけることが重要です(参考:Shopify「コンバージョン率とは?ECサイトのCVRの計算方法や平均値」)。
Q. 外部委託と内製化、どちらを選ぶべきですか?
A. どちらが正解ということはなく、自社のスピード感・専門性・コスト・社内リソースを総合的に考慮して判断する必要があります。マーケティング施策の経験が少ない場合は、まず外部パートナーと伴走しながらノウハウを蓄積し、将来的な内製化を目指すという進め方も一つの選択肢です。
まとめ:ECサイト強化を成功させるために
最後に、この記事のポイントを振り返ります。
-
- ECサイト強化とは、サイト改修とマーケティング活動を組み合わせて新規顧客獲得と売上拡大を目指す取り組みである
- ブランディング(世界観づくり)とPDCA改善(データにもとづく検証)を両輪で進めることが重要である
- 流入施策は「自社メディア強化」「広告運用」「SNS運用」「リピート・再訪促進」の4つの柱で組み立てるとバランスが取りやすい
- いきなり大規模な計画を立てるのではなく、まず3ヶ月程度の短いサイクルで土台を整え、実績を見ながら次を判断するのが現実的である
- 外部委託と内製化は、スピード・専門性・コスト・社内リソースを踏まえて総合的に判断する
自社のECサイトが今どの状態にあるのか、まずは客観的に棚卸しすることから始めてみてください。
データが不十分で施策の優先順位がつけられない、という場合は、計測基盤の整備からスタートするのが確実な一歩になります。ウィルダー株式会社では、そうした最初の一歩からのご相談も承っています。
ECサイト強化にご興味をお持ちの方は、お気軽にウィルダー株式会社へご相談ください。
コスト削減シミュレーター
週のムダ時間 × 人数 × 時給で、削減インパクトを概算します。
