テレビ朝日のAI活用とは、社内専用生成AIツール「Go-chat」による全社員の業務効率化・動画生成AI「Veo」を活用した全社コンテストによるクリエイター育成・新組織「AIクリエイティブスタジオ」設立と新番組『AI大作戦』の開始・早河会長の思考を再現する「AI早河会長」アバター開発まで、放送局として日本最先端のAI戦略を展開する事例です。
テレビ朝日ホールディングスはAIを5つの経営戦略の柱の一つとして位置づけており、「コンテンツ業務効率化の守り」と「新収益創出の攻め」の両輪で活用を推進しています。視聴率は個人2年連続・世帯3年連続1位(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を誇りながら、AI投資をさらに加速させているその姿勢は、放送業界のみならず日本のメディア企業のAI活用モデルとして注目を集めています。
この記事では、テレビ朝日のAI活用の背景・AIポリシーと推進体制・社内AI「Go-chat」の仕組み・動画生成AIの活用・AIクリエイティブスタジオ・放送現場への実装事例・他業種が学べるポイントの順に解説します。
テレビ朝日は2025年夏にAI推進部を設立し、経営計画2026〜2029でAIを5つのキーストラテジーの一つに掲げました。同局AI推進部長の松瀬俊一郎氏は「AIが根付いて、業務効率化の成果が表れてきている」と語っており(参考:日経クロストレンド)、制作現場から管理部門まで組織全体にAIが浸透しつつあります。
- テレビ朝日がAIに本腰を入れる背景:放送業界の構造的変化
- AIポリシーと推進体制:2024年から本格スタート
- 社内生成AI「Go-chat」:全社員が使えるセキュアなAIツール
- 動画生成AI「Veo」:全社コンテストで50作品以上が集まった衝撃
- テクニカル・ラボ:現場発のAI開発が受賞を重ねる理由
- ロケ先でCG合成!放送現場でのAI活用事例
- 生成AIで放送事故を防ぐ:ヒヤリハット自動抽出のPoC
- AIクリエイティブスタジオ:「攻め」のAI経営の象徴
- 新番組「AI大作戦」:AIで「テレビの不可能」に挑む
- 「AI早河会長」アバター:経営トップの思考をAIで継承
- テレビ朝日AI活用から学ぶ:他業種が参考にできる3つのヒント
- テレビ朝日AI活用 主要取り組み比較まとめ表
- よくある質問
- まとめ:テレビ朝日 AI活用が示す「放送×AI」の最前線
テレビ朝日がAIに本腰を入れる背景:放送業界の構造的変化

出典:https://unsplash.com/ja
テレビ朝日がAI活用を加速させている背景には、放送業界全体が直面する構造的な変化があります。
インターネット広告の台頭・動画配信サービスの普及・視聴形態の多様化により、地上波テレビ放送だけに依存するビジネスモデルの限界が明らかになっています。テレビ朝日HDはこの変化に対応するために、ABEMAの拡大・IP事業の強化・東京ドリームパークなどのリアルビジネスとともに、AIを第5の柱として経営戦略に組み込みました(参考:マイナビニュース)。
単なる「業務効率化のツール」としてではなく、「コンテンツ開発」と「ビジネス開発」で新たな収益を生み出す事業的な柱としてAIを位置づけているのが、他の企業のAI戦略と一線を画す点です(参考:AdverTimes)。
AIポリシーと推進体制:2024年から本格スタート
テレビ朝日は2024年より社内横断の「AI推進チーム」を組成し、2025年夏に「AI推進部」として部門に格上げしました。
テレビ朝日ではAIの利活用を推進すべく、2024年より社内横断の「AI推進チーム」を組成しています。新たな表現手法、業務の効率化、課題の解決等につながるAIの利活用方法を調査研究して、時代の変化に合わせた取り組みの検討を行っています。
2025年10月に「AIポリシー」を制定
テレビ朝日は2025年10月にグループとしての「AIポリシー」を制定しました。
株式会社テレビ朝日は「AIを多様で魅力的なコンテンツ制作の支援、そして視聴者の体験価値を高めるために活用する。AIの利用においては、常に人間の判断の重要性を認識し、クリエイターの創造性や権利を尊重するとともに、偽情報や誤情報の生成・拡散を防ぐための最大限の努力を払い、情報の信頼性確保に努める」と明記しています。同時に社内向けの「生成AIの利用ガイドライン」も策定し、制作現場での順守を徹底しています(参考:日本経済新聞)。
社内生成AI「Go-chat」:全社員が使えるセキュアなAIツール

出典:https://www.photo-ac.com/
テレビ朝日のAI活用の中核をなす社内ツールが、「Go-chat(ゴーチャット)」です。
実際の取り組みとして社内専用の生成AIツール「Go-chat」を運用しており、Google Cloud主催の「AI Agent Summit ’25 Spring ~第3回 生成AI Innovation Awards~」にて、テレビ朝日がファイナリストに選出されました。
Go-chatはテレビ朝日グループ内で開発・運用しており、社内のあらゆるイントラネット情報と連携することで、社内知識を横断的に検索・活用できる機能を備えています。一般の生成AIサービスとは異なり、社内情報のセキュリティを担保しながら全社員がAIを使える環境が整備されています。
AI推進部長の松瀬俊一郎氏は「AIが根付いて、業務効率化の成果が表れてきている」と語っており(参考:日経クロストレンド)、Go-chatは文書作成・情報検索・アイデア出しなど幅広い業務で活用されています。
動画生成AI「Veo」:全社コンテストで50作品以上が集まった衝撃
テレビ朝日のAI活用の中でも特に注目を集めているのが、Google Cloudの動画生成AI「Veo」を活用した社内企画です。
2025年夏からはAIを経営の柱の一つに据え、専門部署である「AI推進部」を設立。同部署が中心となり、Google Cloudの動画生成AIモデル「Veo」を活用した社内企画「生成AI動画コンテスト」を開催しました。コンテストは2025年6月から8月にかけて実施され、応募資格は全社員を対象としました。現場のクリエイターだけでなく、バックオフィスの社員も含め、年齢、性別、部署を超えて50以上の応募作品が集まりました。
AI推進部が「伴走者」として全参加者に個別指導
このコンテストで際立っていたのが、AI推進部の関わり方です。
AI推進部のメンバーは、参加者一人ひとりに「伴走者」として寄り添い、技術的なサポートだけでなく、ガバナンスや著作権に関する個別指導を徹底しました。コンテストの核となるツールに選ばれたのがGoogle Cloudの最新動画生成AI「Veo」です。採用の決め手となったのは、その圧倒的なクオリティと、商用利用における権利関係がクリアな点でした。
ドラマ背景・バラエティネタ・再現VTRへの実用化も視野に
コンテストで得られた知見は、すでに実際の番組制作への応用が検討されています。
既に、ドラマの背景映像の補完や、バラエティ番組のネタ映像、再現VTRの制作など、実際の地上波放送での活用に向けた具体的な検討が始まっています。「目指しているのは、AIを単なる効率化のツールではなく、社員の発想を広げるパートナーにすることです」とデータソリューションセンターの皆木氏は語ります。
テクニカル・ラボ:現場発のAI開発が受賞を重ねる理由

Nano Banana Proで作成
テレビ朝日のAI開発において特徴的なのが、「AI開発専門部隊がいない」という事実です。
自社開発したAI技術で、Google Cloud主催の「生成AI Innovation Awards」優秀賞や、日本民間放送連盟賞技術賞などを受賞しているテレビ朝日。だが、AI開発専門の部隊は存在しないという。「4人とも技術局の人間で、普段は番組技術を担当してCGを制作したり、ITインフラなどの設備を管理運用したりしています。現場に近い人間がAI開発をすることで、短期間で現場に成果を出していける良さがあると思います」(技術運用センター長兼テクニカル・ラボリーダーの高野安隆氏)
「テクニカル・ラボ」と呼ばれる部署横断型の研究開発チームが、日々の番組制作業務の延長線上でAI技術を開発・実装しています。現場を知るエンジニアが開発するからこそ、実際に使える実用的なツールが短期間で生まれる——この「現場密着型AI開発」が、テレビ朝日のAI活用を他局と差別化する要因です(参考:日経クロストレンド)。
ロケ先でCG合成!放送現場でのAI活用事例
テレビ朝日の現場発AI開発の代表例が、ロケ先でのリアルタイムCG合成技術です。
従来、スタジオ収録後に専門スタッフが時間をかけて行っていたCG合成処理を、AIを活用することでロケ現場でリアルタイムに実施できるようにしました。これにより制作の効率化と表現の可能性拡大が同時に実現しています。テクニカル・ラボがこの技術開発を主導し、日本民間放送連盟賞技術賞を受賞する成果につながっています(参考:日経クロストレンド)。
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生成AIで放送事故を防ぐ:ヒヤリハット自動抽出のPoC
テレビ朝日のAI活用は、クリエイティブな側面だけでなく「安全管理」にも及んでいます。
京都大学発兼、松尾研発スタートアップ株式会社エムニは、株式会社テレビ朝日と共同で、生成AI技術を活用したヒヤリハット事例の抽出およびチェックシート自動作成に関する実証実験(PoC)を実施しました。本プロジェクトは、放送現場におけるトラブル要因を未然に防ぐことを最終的な目標としています。
放送現場では本番中の機材トラブル・出演者対応・映像送出ミスなど、小さなミスが大きな放送事故につながるリスクがあります。これまで各スタッフの経験則に依存していたヒヤリハットの蓄積と共有を、生成AIが自動で抽出・チェックシート化することで、組織的な放送事故防止体制の構築を目指しています(参考:Media Innovation)。
AIクリエイティブスタジオ:「攻め」のAI経営の象徴

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テレビ朝日のAI戦略が「守り(業務効率化)」から「攻め(新収益創出)」へシフトした象徴が、2026年4月1日に発足した新組織「コンテンツ編成局 AIクリエイティブスタジオ」です。
テレビ朝日ホールディングスは12日、2026〜2029年の新経営計画を発表。AIクリエイター集団「AIクリエイティブスタジオ」を新設し、AIを活用したコンテンツ開発を推進する方針を示した。「AIクリエイティブスタジオ」では、新番組『AI大作戦』を制作。テレビ朝日とグループ会社のクリエイターの育成に加え、一般のAIクリエイターの発掘も目指す。また、生成AIによるアニメ、ドラマ、CMなどのコンテンツを創出し、ヒットIPによる多角的な事業展開を狙う。
AIクリエイティブスタジオが担うのは、①社内外のクリエイター育成・発掘、②生成AIによるアニメ・ドラマ・CMなどコンテンツの量産、③ヒットIPによる多角的な事業展開という3つの役割です。AIを使いこなせるクリエイター人材を組織として育てることで、人材面でのAI競争力を長期的に確保しようとする狙いがあります(参考:マイナビニュース)。
新番組「AI大作戦」:AIで「テレビの不可能」に挑む
AIクリエイティブスタジオが制作する旗艦コンテンツが、2026年6月11日(10日深夜)よりスタートした新番組『AI大作戦』です。
番組は「AIで不可能を可能にする」を合言葉に、番組MCの小峠英二(バイきんぐ)と精鋭AIクリエイターたちが毎週持ち込まれてくるミッションに挑む、アグレッシブかつイノベーティブなバラエティー。毎週水曜深夜0:15〜1:20に放送されています。
テレビ朝日コンテンツ編成局長の寺田伸也氏は「これまでのテレビでは、コスト・時間・技術が問題だった。最新のAIを使ってそれをどう克服していくか」とコメントしており、テレビという媒体そのものの可能性をAIで押し広げることが番組の本質的なテーマとなっています(参考:Wikipedia「AI大作戦」)。
番組を通じてAIクリエイターを社内外に広げることで、テレビ朝日はAIリテラシーの高い人材を組織外からも発掘・育成するという長期的な人材戦略も同時に展開しています。
「AI早河会長」アバター:経営トップの思考をAIで継承
テレビ朝日のAI活用の中で最も話題を集めたのが、2026年3月31日に発表された「AI早河会長」です。
早河洋会長(テレビ朝日ホールディングス会長)のAIアバターを開発したことを発表した。早河氏の過去の発言や社内の独自データを学習させたことにより、質問をすると早河氏の視点に基づいた回答を生成するという。社内行事やイベントでの登壇、社員との対話、企画案の壁打ちでの利用を想定している。
生成AIと3Dモデリングを組み合わせて構築されたアバターであり、単なるFAQツールとは一線を画す存在といえる。若手社員にとっては、経営層の思考に触れる機会が日常化する点が特徴的である。
2026年4月1日の入社式では、現実の早河会長とAIアバターが壇上で20分間掛け合いを行いました。「人間を最終的に動かすのは人間の持つ温もりだ」とAIアバターが新入社員に語りかけるというシーンも生まれ、賛否両論を含めて大きな注目を集めました(参考:デイリー新潮)。経営トップの判断軸・価値観・思想をAIで「継承・共有」するという試みは、企業の知識継承という観点から新たな可能性を示しています。
テレビ朝日AI活用から学ぶ:他業種が参考にできる3つのヒント

テレビ朝日のAI活用事例は、放送業界に限らずあらゆる業種・規模の企業が参考にできる普遍的なヒントを持っています。
ヒント①:「現場を知る人間がAIを開発する」という発想の逆転
テレビ朝日のAI開発の強みは「AI専門部隊がいない」ことにあります。テクニカル・ラボのエンジニアは全員が日々番組制作・放送業務に向き合う現場の人間です。現場を知るからこそ「本当に使えるツール」が生まれ、受賞実績につながっています。
多くの企業では「AIはIT部門がやるもの」と考えがちですが、実際に業務を担う現場の人間こそがAI活用の主役になるべきです。まず現場担当者に小さなAIツールを試してもらい、現場の声から改善を重ねるボトムアップのアプローチが、定着率と実用性の両方を高めます。
ヒント②:「守り(効率化)」と「攻め(新価値創出)」を同時に設計する
テレビ朝日のAI戦略は、Go-chatによる業務効率化(守り)とAIクリエイティブスタジオによる新コンテンツ・新収益の創出(攻め)という2軸が明確に設計されています。
AIを「コスト削減のツール」としか見ていない企業は、その可能性の半分しか活かせていません。「AIでどんな新しい価値を生み出せるか」という問いを常に持ちながら、短期的な効率化と中長期的な価値創造を並行して追求することが、AI投資のROIを最大化する方法です。
ヒント③:「コンテスト」で組織全体のAIリテラシーを底上げする
全社員を対象にした「生成AI動画コンテスト」では、50件以上の作品が集まりました。AI推進部が一人一人に伴走して個別指導を行ったことで、クリエイターだけでなくバックオフィスの社員まで巻き込んだAI活用が実現しています。
「コンテスト」という形式は、強制感なく組織全体のAIリテラシーを底上げするための有効な手法です。優秀作品を表彰・共有することで成功体験が広まり、「自分も使ってみようかな」という自発的な動機が生まれます。社内AI活用の定着に悩む企業にとって、すぐに参考にできるアプローチです。
テレビ朝日AI活用 主要取り組み比較まとめ表
テレビ朝日が展開しているAI活用の主要な取り組みを、以下の表にまとめます。
| 取り組み名 | 領域 | 主な内容・特徴 | 時期 |
|---|---|---|---|
| AI推進チーム→AI推進部設立 | 推進体制 | 2024年に社内横断チームを組成、2025年夏に部門に格上げ。Go-chatの運用・ガバナンス整備・全社AI戦略を統括 | 2024年〜 |
| AIポリシー・利用ガイドライン制定 | ガバナンス | 「人間中心の責任あるAI活用」を明文化。偽情報防止・クリエイターの権利尊重を明記。社内ガイドラインも同時策定 | 2025年10月 |
| 社内生成AI「Go-chat」 | 全社業務効率化 | テレビ朝日グループ独自の社内専用生成AIツール。社内イントラ情報と連携。Google Cloud AI Agent Awardsファイナリスト選出 | 2024年〜運用中 |
| テクニカル・ラボ | 現場発AI開発 | 技術局エンジニアによる部署横断研究開発チーム。ロケ先でのリアルタイムCG合成など現場密着型のAI開発で受賞多数 | 継続運営 |
| 生成AI動画コンテスト(Veo活用) | クリエイター育成 | 全社員対象、50作品以上が応募。AI推進部が一人一人に個別伴走。商用利用の権利関係がクリアなVeoを採用 | 2025年6〜8月 |
| ヒヤリハット自動抽出PoC | 放送安全管理 | 松尾研発スタートアップ「エムニ」と共同実施。生成AIで放送現場のリスク事例を自動抽出しチェックシートを自動作成 | 2025年3月 |
| AIクリエイティブスタジオ設立 | 新組織・コンテンツ開発 | コンテンツ編成局に新設。生成AIによるアニメ・ドラマ・CM創出、社内外AIクリエイター育成・発掘を担う | 2026年4月1日 |
| 新番組『AI大作戦』 | コンテンツ・新収益 | 小峠英二がMC。「AIで不可能を可能にする」をコンセプトに毎週水曜深夜放送。AIクリエイティブスタジオが制作 | 2026年6月〜放送中 |
| 「AI早河会長」アバター | 経営・人材育成 | 早河洋会長の過去発言・社内データを学習した生成AI+3Dモデリングのアバター。入社式・社員との対話・企画壁打ちに活用 | 2026年3月31日発表 |
よくある質問
Q. テレビ朝日の社内AI「Go-chat」はどのようなツールですか?
A. Go-chatはテレビ朝日グループが独自開発・運用している社内専用の生成AIツールです。一般の生成AIサービスとは異なり、社内のイントラネット情報と連携することで、社内知識を横断的に検索・活用できる機能を備えています。情報セキュリティを担保しながら全社員が生成AIを業務利用できる環境を整えており、Google Cloud主催のAI Agent Innovation AwardsでファイナリストにもなりGo-chatの先進性が評価されています。
Q. 「AIクリエイティブスタジオ」は何をする組織ですか?
A. 2026年4月1日に発足した「コンテンツ編成局 AIクリエイティブスタジオ」は、生成AIを活用したコンテンツ制作と人材育成を担う新組織です。主な役割は①社内外のAIクリエイターの育成・発掘、②生成AIによるアニメ・ドラマ・CMなどの新コンテンツ創出、③AIをテーマにした番組「AI大作戦」の制作です。ヒットIPによる多角的な事業展開を目指しており、テレビ朝日のAI戦略における「攻め」の中核組織として位置づけられています。
Q. 「AI早河会長」とは何ですか?なぜ作られたのですか?
A. AI早河会長は、テレビ朝日ホールディングスの早河洋会長の過去の発言や社内独自データを生成AIに学習させ、3Dモデリング技術と組み合わせて開発したアバターです。社員からの質問に対して会長の視点に基づく回答を生成する仕組みで、社内行事・社員との対話・企画案の壁打ちでの活用を想定しています。経営トップの思考・価値観・判断軸をAIで「継承・共有」し、若手社員を含む全社員が日常的に経営層の考え方に触れられる環境を作るという目的があります。
Q. テレビ朝日のAI活用は「守り」と「攻め」のどちらが中心ですか?
A. 両方を明確に設計している点がテレビ朝日の特徴です。「守り」の側面では、Go-chatによる業務効率化・ヒヤリハットAI抽出による放送安全管理・テクニカル・ラボによる制作現場のAI化が進んでいます。「攻め」の側面では、AIクリエイティブスタジオによる新コンテンツ創出・新番組「AI大作戦」・動画生成AIを活用したクリエイター育成など、新たな収益源の開拓も推進されています。テレビ朝日HDの経営計画でAIを5つのキーストラテジーの一つとして掲げており、事業的な収益創出まで射程に入れた本格的なAI戦略を展開しています。
Q. テレビ朝日がAI開発で受賞できた理由は何ですか?
A. 最大の理由は「現場を知る人間がAIを開発している」という点です。テクニカル・ラボの開発メンバーは全員が日々番組制作・放送業務に従事する技術局のエンジニアです。現場のニーズを正確に把握しているからこそ「実際に使える」ツールを短期間で作り上げられます。AI開発の専門部隊を別途設けるのではなく、現場の人間がAIを開発・実装するモデルが、受賞につながる実用的な成果を生んでいます。
Q. 新番組「AI大作戦」はどんな内容ですか?
A. 2026年6月11日(10日深夜)よりテレビ朝日で放送開始したバラエティ番組です。小峠英二(バイきんぐ)がMCを務め、精鋭のAIクリエイターと毎週ミッションに挑戦します。「AIで不可能を可能にする」をコンセプトに、コスト・時間・技術という従来のテレビ制作の限界をAIで突破していく内容です。毎週水曜深夜0:15〜1:20に放送されており、AIクリエイティブスタジオが制作しています。
まとめ:テレビ朝日 AI活用が示す「放送×AI」の最前線
この記事では、テレビ朝日のAI活用について、背景・推進体制・Go-chat・動画生成AI・テクニカル・ラボ・新組織・新番組・AI早河会長まで詳しく解説しました。要点を以下にまとめます。
- AIを5つの経営戦略の柱の一つに据え、「守り(効率化)」と「攻め(新収益)」の両輪で推進。業務効率化にとどまらず、コンテンツ開発とビジネス開発での新たな収益創出まで射程に入れた本格的な戦略です。
- 社内専用生成AI「Go-chat」がGoogle Cloud AI Awardsファイナリスト選出。セキュアな環境で全社員が業務にAIを活用できる基盤が整備されており、業務効率化の成果が出始めています。
- 「AI専門部隊がいない」テクニカル・ラボが受賞を重ねる。現場を知るエンジニアが開発するからこそ実用的なツールが生まれる「現場密着型AI開発」が、テレビ朝日のAI活用の最大の強みです。
- 全社員対象の動画生成AIコンテストに50作品超が集まり、クリエイターだけでなくバックオフィスまで巻き込んだAI活用が実現。AI推進部が全参加者に個別伴走する手厚いサポートが定着を支えています。
- AIクリエイティブスタジオ設立・新番組「AI大作戦」・AI早河会長アバターと、業界に先駆けた取り組みが連続して実現しており、放送業界のAI活用の水準を塗り替えつつあります。
テレビ朝日のAI活用が示す最大のメッセージは「AIは放送の可能性を壊すのではなく、広げる」ということです。現場のクリエイターがAIを使いこなすことで、これまでコスト・時間・技術という壁に阻まれてきた表現の可能性が一気に開かれていきます。放送業界に限らず、すべてのコンテンツ産業・クリエイティブ産業にとって参考になる先進事例です。
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